奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第7回】中学時代から僕を苦しめてきた「深刻な症状」(奥村 隆) | 現代ビジネス | 講談社(1/7)

「俺、誰と一緒のチームになるのかな?」

 そう思って、何気なく教師に顔を向けた瞬間、僕の「耳」に異変が起きた。

 突然、体育教師の声が聞き取れなくなったのである。ほんの数メートル先で彼が何を話しているのか、内容が急にわからなくなった。

 声そのものが聞こえなくなったわけではない(無音状態になったわけではない)。教師が喋っているのは聞こえる。周囲で同級生たちがお喋りしているのも聞こえる。しかし、体育教師が発する言葉が、あたかもクラスメートたちの声に溶け込んでしまったかのように、何を意味しているのか急に理解できなくなったのだ。

 僕は教師の顔を凝視し、集中して、彼が何を話しているのかを把握しようと試みた。でも、どう頑張ってもそれは不可能だった。教師の太い声は、音としては十分に僕の耳に入っており、単純に「聞く」ことはできる。同級生たちのお喋りでかき消されているわけではない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました